麻雀を打っていて、ある程度慣れてくると一度は通る道があります。
それが「字牌(=安全牌)確保病」です。
手牌の右端にポツンとある手牌構成と無関係の字牌くん。あいつをなくすのがこの記事の目的です。
なんで字牌(安全牌)を持っちゃうのか
この「字牌持っちゃう病」は初心者を脱出して、多少なりとも押し引きとかも理解しだした頃に発症します。
ルールを覚えたばかりの初心者の人は、押し引きの「引き」を考えずに自分のアガりだけを見て字牌からバシバシ切ると思います。
プロの真似事をしている
字牌を抱えてしまう理由の1つ目は、プロの打ち方を真似して実践していることかと思います。
Mリーグなどでプロが字牌を持っているのを見て、「自分も持っておこう」となんとなく真似してしまうパターンです。
しかし、後述しますがプロは字牌を持つ意味やタイミングを理解して打っているので、理由がわからないまま上辺だけ真似するのは効果が薄く、期待値的に損を積み重ねているだけになってしまいます。
手詰まりが怖い
2つ目は、手詰まりの不安です。
「相手から立直が来たら打てる牌がなくなるのでは?」という恐怖から、とりあえず字牌を抱えてしまう人も少なくありません。
しかし、そもそもが放銃を怖がり過ぎているケースが多いです。
また、相手の立直の一発を重く見過ぎている傾向があります。
ベタオリの技術を磨けば完全な手詰まりから放銃するケースも減りますし、そもそも1枚字牌を抱えているくらいでは、守備も万全とは言い難いです。
字牌を持ってはいけない理由
先制できる可能性が減る
今更かもしれませんが、字牌は数牌に比べて受け入れ枚数が圧倒的に少ないです。
字牌は、その牌そのものを引かないとターツ化しません。
ターツ化する枚数は1種3枚と非常に少ないです。
対して数牌は最弱の1でも123の3種11枚でターツ化します。
ペンチャンやカンチャンでも、そこからの二次変化もあり、面子化する可能性は大きく違います。
ということは当然、絵合わせへの貢献度が低い字牌を持っていると、手の進行が遅くなります。
先制されるデメリットは言うまでもないと思いますが、アガリ率が下がり、相手のアガリの可能性が高まります。
結果、失点するケースも増えますし、自分が先制していれば降りたかもしれない相手の攻撃を受けることになります。
難しい押し引きを押し付けられることになり、ますますアガリが遠ざかってしまいます。

例えば上の画像は、私が他の方の牌譜検討を依頼されたときのものですが、この手牌から第1打で打1sとしています。
明らかに牌理上損をしていて、一見2sも面子ができるように見えますが、25sを引いたときに134568の離れリャンカンを逃します。
素直に東か西を切っておけば当然そのロスはなく問題無いのですが、「字牌は安全度が高い」とぼやっと思っていると、こういった期待値のロスを生んでしまいます。
結局牌理に逆らうことはほとんどNGで、最重要な技術として牌理が存在します。
牌理がなぜ大事かは↓の記事に書いてあるので良ければこちらも。

そもそも守備力とは字牌を持つことではない
見出しの通りですが、そもそも字牌を1枚手牌の右端に置いておいたところで、大して守備力は上がりません。
序盤に立直を受ければ、流局までは巡目も長く、字牌の1枚程度でベタオリ成功率はそこまで上がりません。
「じゃあ立直を受けたらどうしたらいいの?」という声もあるかもしれませんが、ベタオリすればいいのです。
「基本は真っすぐ手を進めて先制を目指す、後手で手牌価値が足りないならベタオリ」です。
そもそも麻雀の失点に一番大きな影響を与えるのは押し引きによる降りの判断です。
降りるべき手牌の時にしっかりと降りの判断を下せるかどうかのほうが大事です。
その時には中途半端な対等をせずに、切るべき牌を切りしっかり降りて失点を減らすのがいいです。
麻雀における一番手っ取り早い失点を減らす方法は「自分がアガる」ことです。
そのために真っすぐ手を進めて、アガリ率を最大化するのが多くの場合最善です。
そういう意味でも、放銃してしまうことよりも、先制できる手を字牌を抱えたことによって逃すほうが罪です。

上の画像も、添削をしていた実戦譜ですが、ここから打7pとしています。
發を切らない前提でも7pを切るのがいいのかは置いておいて、明らかに發を切るべき局面です。
發を残すことによって上がり率が激減してしまします。
今局面は、そもそも自分のアガリが打点的にも大きい局面でもありますし、アガリ率最大に受けるほうが大きく得なことが多いです。
上達の機会を逸する
ちょっと古い考えも混じっているかもしれませんが、ある程度放銃して、痛い目を見ながら覚えるのも大事だと思っています。
最初は無邪気に押していき、「このくらいの牌は放銃になる」「このくらいはまだまだ押して問題無い」といった押し引きの感覚を覚える機会を得るのも成長するために必要です。
もちろん、現代はかなり統計や解析が進んでいて、押し引きに関してもかなり数値化が進んでいます。
とはいえその数値化された押し引きを使うのは私たち人間です。
河の違和感などで、押し引きの基準が変わったりもするので、やはり感覚的な部分や経験則といった不確かな要素も、上達には欠かせません。
また、字牌を残して進行することで、アガリ回数が減ります。
先制される機会も増えて、結果的に降りに回るケースも増えるでしょう。
そうなった際に成長段階の初中級者であれば、麻雀に対するモチベーションが下がってしまうのが少し心配です。
放銃もいっぱいしても、たくさんアガれる方がやってて楽しくないですか?
ガンガンアガりまくる快感を覚えて、それから守備も覚えて成績を気にするほうが将来的に伸びると思います。
字牌を持つケース
押し返すために字牌を持つ
プロの真似で字牌を持っている人にはきちんと知ってほしいのですが、上級者は「押し返すため」に字牌を持っています。
序盤からむやみに安全度を高めるために持っているのではなく、一向聴や二向聴になってアガリが見えたときに、他家から立直が来て危険牌が浮いているから降りに回されることを避ける、つまり後手でも押し返せるようにするために、安全度を確保しています。
再序盤から字牌をとりあえず抱えるをやってしまうと、上で述べたように、単に先制が取れない人になってしまうので注意しましょう。
受け入れのロスが無い・少ない
当然ですが、字牌を持っても受け入れのロスが無いのであれば、基本的に数牌よりも安全度が高いので残して進行してOKです。
5ブロックが全て良形以上でそろっていれば字牌を残しても問題ないことがあります。
全て良形であれば、これ以上良形変化のために孤立牌を残す必要がなく、フォロー牌も愚形フォロー程必須ではないからです。
ただし、打点上昇の種は切らないようにしましょう。
5ブロックがよく分からない人は↓の記事で学びましょう。


親なので白を切って目いっぱいでもいいですが、ある程度のトップ目であることと、7p引き以外は全て打7pの聴牌に取るので先に打7p。
シャボは通常は良形ではありませんが、中は鳴ける&1pもかなり2山っぽいのでいいシャボなのと、7pを残して良形変化は58p引きですが、二度受けになり良くなっているかと微妙なので先切りしても問題ありません。
守備力というよりは中盤に入って生牌の白を鳴かれてポンテンを入れられるのを嫌うイメージ。
白が立直宣言牌になれば、トップ目の親リーということでポンを見送り、白を安全牌にして降りてくれるケースがあります。
攻撃に使うケース
こちらも当然ですが、字牌を攻撃に使用する場合には残してOKです。本当に当たり前です、ありがとうございます。
具体的には、七対子を狙う際に待ち候補になる字牌を温存したり、ホンイツなどの手牌で字牌を残すことはあります。

当然4pを残したほうが受け入れは広いです。
しかし打点的に不満もあるので、中を重ねられるように打4pとします。
まあこれは大体の人が4pを切る気もしますが笑
他家に鳴いてほしいとき
三麻ではいわゆる字牌を「絞る」ちいうケースは四麻と比べて少ないです。
代わりに他家の役牌を「溜める」というケースがかなり増えます。
例えば南2局などでラス目が親の場合に、自分の手のアガリが見込みづらい手だったとします。
その際に、もう一人の子の役牌を7巡目程度まであえて切らずに、鳴いてもらってもう一人に親を流してもらうようアシストする、というものです。
こういったケースでは、自分の手牌には字牌を使わなくても、溜めるために残すケースがあります。
速度重視の手組みの時














あんまいい実戦譜が無かったのですが、上記のような手牌でアガリトップのオーラスとします。
もちろん真っすぐに字牌から切り出していくのも有力です。
しかし、他にもポン材が多くあり、役牌が重なると大幅な速度上昇が見込めます。
こういった状況、手牌であれば1pあたりから切り出して役牌重ねを狙う手順を採るのもアリです。
そもそも字牌を持って手牌進行するのは高度な技術が必要
手組みに無関係な字牌を持って進行するのは、繊細な牌効率の知識が要求されます。
字牌を持つために代わりに数牌を切ることでどの程度のロスがあるのか。
代わりの数牌が孤立牌であれば、良形変化の可能性と、変化した際の強さはどの程度か。
フォロー牌であれば、フォローとしての有効度と打点のロスはどの程度なのか。
その辺りを、字牌を持った際の安全度のメリットと比較して選ばなければいけません。
この技術は上で大事だと述べた、降りるべき局面を見極める技術や、ベタオリの技術より難しいと私は思います。
しかも、押し引きやベタオリ技術に比べ、成績に与える影響は小さいです。
後手で押し返すためにある程度のロスを許容することになりますが、どこまでロスをしても期待値を大きく損ねないのかが分からない、曖昧なうちは、結論「字牌から切って真っすぐ進行する」ほうが間違えることがなく無難です。
まとめ
まず前提として大事なのは、「字牌を持つこと自体が悪なのではなく、理由なく持つことが悪い」ということです。
字牌をなんとなく抱えておくと、手の進行が遅くなり、先制立直のチャンスを逃しやすくなります。
それによってアガリ率そのものが下がり、結果的に失点機会も増えてしまいます。
また、押し引きの感覚やベタオリの判断といった、麻雀の本質的な上達機会も失われてしまいます。
一方で、字牌を残すべき局面も存在します。
明確な目的をもって字牌をキープしているのであれば戦略として有効です。
手役や強い待ち候補として字牌を残すケース、役牌を鳴いてもらうために溜めるケース、手牌に残してもロスが少ない場合に安全牌として持つケースなどがあります。
最後になりますが、今言ったような明確な意図がない限りは基本は「字牌から切る」ほうが期待値上得な場面がほとんどです。
よくわからなければ字牌を切りましょう。
なんとなく字牌をキープしていた人は、それだけでかなり成績が良くなるはずです。

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